2017年3月2日(木)、慶應義塾大学日吉キャンパス 藤原洋記念ホールにて、慶應義塾大学と大川財団の主催により、2016年度大川賞受賞記念シンポジウムが開催されました。
(協賛:一般社団法人 情報処理学会・一般社団法人 電子情報通信学会)
第一部では、徳田 英幸博士(慶應義塾大学環境情報学部 教授・当財団理事)の開会挨拶のあと、大川賞審査委員で当財団の評議員長である安田 靖彦博士(東京大学 名誉教授・早稲田大学 名誉教授)から大川賞ならびに受賞者の紹介がありました。続いて、受賞者である相磯 秀夫博士(慶應義塾大学 名誉教授・東京工科大学 理事(前学長))ならびにジョン・L・ヘネシー博士(スタンフォード大学 名誉学長・同 ナイト・ヘネシー奨学生プログラム 理事長・同 電気工学・計算機科学科 教授)による受賞記念講演が行われました。
開会挨拶 徳田 英幸博士 |
大川財団と大川賞の紹介 安田 靖彦博士 |
ジョン・L・ヘネシー博士は ”The End of Road for General Purpose Processors and the Future of Computing” と題して、汎用プロセッサの性能向上の経緯と将来について論じられました。汎用プロセッサの性能は過去50年間で劇的な向上を遂げてきましたが、アーキテクチャや技術上の問題、またプロセッサの用途が従来の汎用デスクトップコンピュータから個人向けの小型デバイスやバーチャルリアリティ、クラウドコンピューティング、さらには機械学習などへと変わりつつあることから、これまでのような右肩上がりの性能向上の時代は終焉を迎えたと指摘されました。一方で、アプリケーションの変化により、これまでとはまったく違う性能向上への新たな道が開かれたと結論されました。
相磯 秀夫博士は「コンピュータサイエンス関連分野における研究・教育の体験 〜コンピュータアーキテクチャの研究から大学改革まで〜」と題し、わが国最初の実用トランジスタ・コンピュータETL Mark IVの開発をはじめとする高機能コンピュータの研究開発、通産省の大型コンピュータ・プロジェクトへの貢献など、40年余にわたって携わってこられた数々のコンピュータの研究開発について概要をご紹介されました。また、研究生活における貴重な体験から得られた教訓を活かして若手の人材育成や大学改革に取り組まれてきたことをご紹介され、これからの大学における教育・研究と諸学問横断的な情報関連学部・学科のあり方について展望を述べられました。
第二部では「コンピューティングの進化と研究大学の役割」をテーマにパネルディスカッションが行われました。研究開発の第一線で活躍すると共に、大学教育におけるリーダーシップを担ってこられた相磯博士とヘネシー博士が引き続きパネリストとして登壇され、徳田 英幸博士がモデレータを務め、フロアからの質疑応答を含め、活発な意見交換がなされました。
※大川賞受賞記念シンポジウムの様子をこちらからご覧いただけます。
※2016年度大川賞・大川出版賞・研究助成贈呈式のレポートはこちらをご覧ください。
※相磯 秀夫博士、ジョン・L・ヘネシー博士の略歴・主な業績等はこちらをご覧ください。